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Camera 2026.07.29 Read 15 min

Leica Q3とSONY RX1R IIIを今から買うならどっちか考えてみた

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今から一台ならSONY RX1R IIIだ。新品実売の差は約53.5万円。AFと軽さと35mmの画角がソニー側にある。ただし手ブレ補正・チルト・防塵防滴、そして所有の喜びが要る人は、Q3が正解になる。

先に断っておく。僕はLeica Q3にもSONY RX1R IIIにも、実機で触れたことがない。この記事は、Leica Q2を2年使って手放した過去と、Leica M11を今も使っている現在、そして両機の公式スペックと2026年7月29日の実売価格から組み立てた判断エッセイだ。実写レビューではないし、写りの優劣もここには書かない。それでも書く価値があると思ったのは、この2台の間で迷っている人が探しているものが、たぶん作例ではないからだ。

僕はQ2を、M11を買うために売った

僕のカメラ遍歴でいちばん揺れた売却が、Leica Q2だ。M11を買う資金にするために売った。結果から言えば、M11には満足している。ズミクロンM 50mmを付けて、ファインダーの二重像を合わせて、切り取る。あの一連の動作には、AFのカメラにはないロマンが詰まっている。M11を選んだことを後悔した日は一日もない。

ただ、あのときお金が十分にあったら、Q2は手放したくなかった。これも本音だ。Q2の良さはAFだった。娘に向けた瞬間、考えるより先にピントが来る。MFのM11では逃してしまう一枚が、Q2では半押しひとつで残せた。つまり僕は、AFの価値を体で知った上で、ロマンを選んだ人間ということになる。

その僕が「Q3とRX1R III、今から買うならどっち」と聞かれたら、答えはソニーになる。ライカを手放したくなかった人間の答えとしてはねじれて見えるはずなので、この記事はそのねじれを最後までほどいていく。

Leica Q3はどんなカメラか

Leica Q3は2023年6月発売のフルサイズ固定レンズ機だ。6030万画素のセンサーに、ズミルックス28mm f/1.7。光学式手ブレ補正は静止画にも効き、背面モニターはチルト式、ボディはIP52の防塵防滴、EVFは576万ドットの0.79倍、動画は8K30pまで回る。Q2を使っていた人間から見ると、あのカメラで物足りなかった場所を素直に埋めてきた正統後継だ。クロップも35/50/75/90mm相当まで刻めるようになった。

値段は公式で¥1,188,000。発売時の¥902,000から、¥968,000、¥1,133,000と改定が続き、現在は4度目の水準にいる(この最後の改定日は公式発表を確認できていない)。実売はキタムラとマップカメラ楽天がともに¥1,128,600(2026年7月29日時点)。ライカで後悔する4パターンを書いた記事で、ライカは写りの個性ではなく撮影プロセスの個性を買う道具だと書いた。Q3はそのライカの中でいちばんAF寄り、便利側に立っているカメラだ。

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SONY RX1R IIIはどんなカメラか

SONY RX1R IIIは2025年8月8日発売。RX1R II(2016年)から9年半ぶりに復活したフルサイズ固定レンズ機だ。型番はDSC-RX1RM3で、検索窓ではRX1R3ともRX1RIIIとも書かれて表記が揺れている。有効約6100万画素に、ZEISSゾナーT* 35mm F2。AFは693点で、認識対象は人物・動物・鳥・昆虫・車・列車・飛行機にオートを加えた8種。重さはバッテリー込みで約498g。ソニーストアで¥658,900、キタムラ実売は¥593,010(2026年7月29日時点)。

そして弱点も最初に並べておく。静止画用の手ブレ補正がない。背面モニターは固定式。防塵防滴は仕様表に記載がない。6100万画素の高画素機として、どれも軽くない欠点だ。この3つを伏せて推す記事にはしたくないので、あとで一つずつ数字と一緒に見る。

数字で並べる。2台のスペック差分表

Leica Q3SONY RX1R III
新品実売(2026年7月)¥1,128,600(公式¥1,188,000)¥593,010(ソニーストア¥658,900)
レンズ・画角ズミルックス28mm f/1.7ZEISSゾナーT* 35mm F2
センサーフルサイズ6030万画素フルサイズ6100万画素
手ブレ補正(静止画)光学式ありなし
背面モニターチルト式固定式
防塵防滴IP52仕様表に記載なし
AF315点・人/動物認識693点・AI認識8種
EVF576万ドット・0.79倍236万ドット・0.70倍
クロップ35/50/75/90mm相当35/50/70mm相当(ステップクロップ)
質量約743g約498g
バッテリー(CIPA)約350枚約270〜300枚
動画8K30p / 4K60p4K30p

差分の芯は3つある。ひとつ、手ブレ補正はQ3の明確な勝ちで、これは次の章で正面から扱う。ふたつ、チルトとIP52もQ3の勝ちで、ウエストレベルで撮りたい人と雨の日に持ち出す人には効く差だ。みっつ、AFと重さはソニーの圧勝で、693点対315点、498g対743g。245gの差は、数字で見るよりカメラを持ち出す回数に効いてくる。同じ700g級のQ2を2年首から下げていた僕が言うのだから、ここは信じてもらっていい。

RX1R IIIに手ブレ補正はありますか

ない。静止画用の手ブレ補正は非搭載だ。仕様表の手ブレ補正の欄には電子式とあるが、対象は動画のみで、静止画向けの補正はどこにも書かれていない。6100万画素という、ブレが最も目立つ画素数でこの仕様は、このカメラ最大の弱点だと思う。

運用でどこまで受けられるかは、言説がひと通り出そろっている。デジカメinfoが紹介した海外レビューは「IBISは非搭載だが、カメラが非常に小さいので、しっかり構えれば手ブレは大きな問題にはなりにくい」と書き、Reddit r/Leicaのスレッドには、61MPなら安全にシャープに残すには1/125秒は要る、という趣旨の声がある。要するに、シャッター速度で解決しろという世界だ。日中のスナップと子どもの撮影は、被写体ブレを止めるためにもともと速いシャッターを切るから実害は小さい。夜の街と暗い室内は、ISOを上げて許容するか、Q3を選ぶかの二択になる。

ここを綺麗にごまかす言い方はないので、そのまま書いておく。手ブレ補正が判断の一位に来る人は、この比較はQ3で終わっていい。

価格差53万円で、Q3は何を売っているのか

Leica Q3SONY RX1R III
公式価格¥1,188,000¥658,900(ソニーストア)
新品実売(キタムラ)¥1,128,600¥593,010
新品実売(マップカメラ楽天)¥1,128,600¥598,450
新品実売の差約53.5万円(¥535,590)
中古(キタムラ)¥1,019,800〜(5点)¥421,200〜478,100(5件・出れば即売れ)
メルカリ出品中¥850,000¥515,000〜538,000
キタムラ買取上限最大¥474,000最大¥383,000
値動きの方向値上げ継続(発売から4度目の水準)発売時の約66万円から下落

新品実売で¥1,128,600と¥593,010。差は¥535,590。Q3の予算があれば、RX1R IIIはほぼ2台買える。「100万円級同士の対決」という言い方をよく見るが、実売ではもう成立していない。

この表でいちばん見てほしいのは、いちばん下の行だ。ライカは¥902,000で出たQ3を3年で¥1,188,000まで引き上げてきた。一方のソニーは、発売時に約66万円だった実売が59万円台まで下がった。発売時に約47万円だった2台の差は、いま約53.5万円まで開いている。つまり「待つ」の意味が2台で真逆になる。Q3を待つと高くなってきた歴史があり、RX1R IIIは待った人が安く買えている。この先を保証はできないが、方向は事実として書いておく。

ではQ3の53万円分には何が入っているのか。数値化できる分は、光学式手ブレ補正、チルト、IP52、倍以上のEVF解像度、8K動画。数値化できない分は、赤いバッジと、ライカを所有して歩く時間だ。この後半を「そんなものに53万円」と切り捨てる記事にはしたくない。僕はその「そんなもの」の側でM11を買った人間だからだ。ただ、内訳を知らずに払うのと、知って払うのでは、3ヶ月後の気持ちがまったく違う。内訳はこの表で全部見せた。

28mmは計算、35mmは切り取りに近い

M型ライカの35mmと50mmの記事で、広い画角は何を入れて何を外すかの計算が要り、狭い画角は切り取ることに集中できる、と書いた。あの物差しをこの2台に当てると、28mmのQ3は計算の側、35mmのRX1R IIIは一段だけ切り取りの側に寄る。

僕にとってこれは理屈ではなく、Q2の28mmで2年やった計算の記憶だ。旅先では神の画角だった。街ごと飲み込んで、適当に切っても物語になる。ところが娘を撮ろうとすると、28mmは広すぎた。顔だけを残したいのに、散らかった部屋まで一緒に写る。寄っても寄っても背景が入る。35mmはその悩みのちょうど答えの位置にある画角で、しかもRX1R IIIにはステップクロップで50mm相当・70mm相当へワンタッチで踏み込む逃げ道まである。

子どもの記録という用途で見ると、判断はさらにソニーへ寄る。動く子どもに要るのはAFの速さと確実さで、693点とAI認識はそのためにある装備だ。そして498gという重さは、抱っこ紐とベビーカーの日に「今日も持っていくか」と思えるかどうかの境目になる。Q2で、僕は持ち出さない日が増えていく過程を経験した。画角、AF、重さ。子どもを撮る道具としての合理は、三拍子ともソニー側に揃う。

「欲しい。買わない。」と書いた僕が、なぜRX1R IIIと答えるのか

去年RX1R IIIが出たとき、僕は欲しい。買わない。憧れるだけでいい、という記事を書いた。あの結論は撤回しない。あれは「僕が今、このカメラを買うか」という問いで、答えは今も買わないだ。娘との毎日にフルサイズ固定レンズ機を差し込む余地がないという僕の生活事情は、あれから変わっていない。

この記事の問いは別物だ。「Q3とRX1R IIIのどちらかを、今から一台買うなら」。二台を同じ土俵に並べたときにどちらを取るかという問いで、その答えがRX1R IIIになる。理由はここまで書いた通り、35mmと、AFと、498gと、53万円だ。買うか買わないかはあなたの生活が決める。どっちかと聞かれたら、僕はソニーと答える。この2つは矛盾しない。

そして前の記事の末尾に、いつか一人旅の時間が戻ってきたらもう一度この選択肢を眺める、と書いた。そのとき僕が手に取るのも、Q3ではなくRX1R IIIの側だと思う。28mmの計算はもう2年分やった。次にやりたいのは35mmの切り取りだからだ。

合理は全部ソニー側にある。それでも決まらないあなたへ

スペック差分表を上から下まで読むと、合理はきれいにソニー側に積み上がっていく。AFは倍以上、重さは245g軽く、値段は53万円安い。マップカメラのスタッフにもQ3を買おうとしてRX1R IIIを選んだ人の記事がある。それでも決まらない人が、この2台の間には大勢立っている。深夜に比較記事を読み、朝にはまた同じスペック表を眺めている人。

表を何十回見ても答えが出ないなら、あなたが買おうとしているのは、たぶんスペックではない。赤いバッジかもしれないし、ライカを提げて歩く自分かもしれないし、ファインダーの向こうのロマンかもしれない。Redditには、性能ではソニーと分かっていながら「アーティスト気質の自分がLeicaを欲しがる」と書いた人がいた。それは恥ではない。カメラが性能だけで買う道具なら、僕はAFのQ2を手放してMFのM11を選んだりしていない。合理を全部見た上でQ3に手を伸ばす人を、僕は笑えない。笑うどころか、欲しい方を自分の答えとして買うのは、迷い続けるよりずっと健全だと思う。

決めるための線は、ひとつだけ引ける。53万円の差額で自分が何を買おうとしているのか、言葉にできるかどうかだ。手ブレ補正とチルトとIP52、と言えるなら、それは数値の買い物で、Q3は堂々と正解になる。ライカだから、としか言えなくても、それを自分の答えだと認められるなら、やはりQ3は正解になる。どちらの言葉も出ないまま何ヶ月も経っているなら、次の分岐を読んでほしい。ひとつ付け加えると、ロマンが理由でライカに行くなら、AFのQではなくMという行き先もある。僕はそっちへ行って、満足している。

誰のためのどっちか。4つの分岐

Q2を使っていて、28mmが広すぎると感じてきた人。RX1R IIIにしろ。 あなたの悩みは画角の悩みで、35mmはその正面の答えだ。Q3を選ぶと、同じ28mmにもう一度¥1,128,600を払うことになる。Q2の売却実勢は、ショップ店頭で並品¥624,800から、メルカリなら¥526,000からだった(2026年7月29日実査)。ひとつだけ問いを残す。出動が減った原因が画角でないなら、どっちを買っても防湿庫の中身が入れ替わるだけになる。そこは買う前に一度だけ考えてほしい。

RX1R IIを9年使い続けてきた人。買っていい。 あなたはQ3と比較して買う人ではなく、RX1だから買う人のはずだ。実売は発売時の約66万円から59万円台まで下がり、中古は¥421,200からの5件が出れば即売れていく。待つのが得意な人ほど、待つこと自体が目的になりやすい。9年半待った物語の回収として、位置は悪くない。

合理では決まらず、赤いバッジに心拍数が上がる人。Q3を買え。 53万円の差額の内訳は上の表で全部見せた。それを見た上でライカが欲しいなら、あなたが買っているのは撮影プロセスと所有の時間で、それはこのサイトが一貫して認めてきた買い方だ。チルトとIP52と光学式手ブレ補正という実利も、ちゃんとQ3側に付いてくる。AFを手放してまでロマンでM11を選んだ僕に、あなたを止める資格はない。

初めてのハイエンドコンパクトで、慎重に決めたい人。まず借りろ。急がなくていい。 その慎重さは正しい。そしてレンタルの現実は非対称だ。RX1R IIIはマップレンタルで1泊2日¥9,000、在庫あり。Q3はマップレンタルに取扱がなく、GooPassで1泊2日¥35,112から、しかも2026年7月29日時点では入荷待ちだった。両方借りて比べるのは現実には難しいから、まず¥9,000でRX1R IIIの498gを3日間の生活に混ぜてみるのが最短だ。持ち歩けると分かってから財布を開いても、値下がり方向のソニーは逃げない。損の上限も先に知っておくといい。買取上限はQ3が最大¥474,000、RX1R IIIが最大¥383,000だ(2026年7月29日・キタムラ表記)。

誰のためか判定根拠
Q2の28mmが広すぎた人RX1R IIIにしろ35mmは画角の悩みの正面の答え。Q3は同じ28mmに再度¥1,128,600
RX1R IIを9年使ってきた人買っていい実売は発売時比6〜7万円下落。中古¥421,200〜は即売れ。物語の回収
赤バッジに心拍数が上がる人Q3を買え差額53万円の内訳を知って払うなら、撮影プロセスと所有への正当な支出
初めてのハイエンドコンパクトまず借りろRX1R IIIは¥9,000/1泊2日で試せる。Q3はレンタル入荷待ちで試しにくい

よくある質問

RX1R IIIに手ブレ補正はありますか

静止画用の手ブレ補正はない。仕様表にある手ブレ補正は電子式で、対象は動画のみだ。6100万画素で静止画の補正なしのため、シャッター速度を稼ぐ運用が前提になる。海外レビューには「カメラが非常に小さいので、しっかり構えれば手ブレは大きな問題にはなりにくい」という評価もある。Q3は光学式手ブレ補正が静止画にも効く(2026年7月時点)。

Q3とRX1R IIIの価格差はなぜ53万円もあるのですか

新品実売はQ3が¥1,128,600、RX1R IIIが¥593,010で、差は¥535,590(2026年7月29日・キタムラ実売)。Q3側には光学式手ブレ補正・チルト式モニター・IP52の防塵防滴・576万ドットEVF・8K動画という数値化できる差と、ライカの所有体験という数値化できない差が積まれている。加えてライカは値上げが続き公式¥1,188,000、ソニーは発売時の約66万円から下落と、値動きの方向も逆だ。

Q2からの買い替えはQ3とRX1R IIIどっちがいいですか

買い替えの理由が「28mmが広すぎた」ならRX1R IIIだ。35mmは28mmより切り取りに近く、僕がQ2を使っていた頃の画角の悩みを正面から解決しにくる。Q3を選ぶと、同じ28mmにもう一度¥1,128,600を払うことになる。逆に、28mmに悩みがなく、ライカの撮影体験ごと更新したいならQ3が正統後継だ。Q2の売却実勢はショップ店頭で並品¥624,800から、メルカリで¥526,000からだった(2026年7月29日実査)。

Q3やRX1R IIIを中古で買うのはありですか

RX1R IIIの中古はキタムラで¥421,200から¥478,100の5件だが、マップカメラは2件ともSOLD OUTで、出れば即売れる状況だ。新品実売¥593,010との差を考えると、急がないなら新品でいいと僕は思う。Q3の中古はキタムラで¥1,019,800からの5点で、新品との差は約11万円。値上げが続くライカでは、中古の意味が相対的に大きい(2026年7月29日時点)。

買う前にレンタルで試せますか

RX1R IIIはマップレンタルで1泊2日¥9,000・在庫ありだった(2026年7月29日時点)。Q3はマップレンタルに取扱がなく、GooPassのワンタイムが1泊2日¥35,112からで、しかも入荷待ち。つまり「両方借りて比べる」は現実には難しく、簡単に試せるのはソニー側だけという非対称がある。迷いが長引いている人は、まず¥9,000でRX1R IIIの498gと35mmを確かめるのが現実的だ。

価格・在庫・レンタル状況は2026年7月29日時点のライカ公式オンラインストア・ソニーストア・カメラのキタムラ・マップカメラ・マップカメラ楽天市場店・マップレンタル・GooPass・メルカリの実査に基づく。ライカは価格改定が続いているので、購入前に必ず最新価格を確かめてほしい。繰り返しになるが、Q3・RX1R IIIとも僕は実機に触れていない。本記事に両機の実写・操作感の体験評価は含まれておらず、写りの好みという最後の領域は、あなたの目で作例と実機から確かめてほしい。