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Leica SL3-Sは、ライカで動画を撮るという矛盾への、ライカからの答え。

近所の散歩中に、空を撮った一枚。Leica M11、ズミクロン50mm。飛行機雲が夕焼けのグラデーションを斜めに横切る、その数秒を止めた。わたくしのライカとの付き合いは、こういう何気ない瞬間を作品にするための道具として始まった。その延長線上に、今回語るSL3-Sがある。   ライカで動画を撮る——という一文を、長年のM型ユーザーは、どこか受け付けない。 M型は静止画の道具だ。レンジファインダーを覗き、シャッターを切り、止めた一瞬を残す。動画という時間軸を持つメディアは、ライカの文法の外にあった。だからLeica SL3-Sの発表を最初に知ったとき、わたくしの中の古い部分は、少しだけ身構えた。 しかし、時代は動いている。 backspace.fmのドリキン氏は、Leica

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Leica Q3 43は、43mmという「第二の標準」に¥110万を払う道具だ。

近所の公園のサルスベリを、Leica Q2で撮った一枚だ。開放f/1.7、28mm、8月の昼過ぎ。Q2はわたくしが過去に所有し、手放し、今も手の記憶に残っている機材だ。——この記事は、そのQ2の記憶を携えたまま、Q3 43(43mm)という派生機を考える記事になる。   2024年11月、ライカは奇妙な派生機を出した。 Leica Q3の兄弟として、焦点距離だけが違う一台。ボディはQ3とほぼ同じ。センサーも同じ6030万画素フルサイズ。手ブレ補正も同じ。——変わったのは、レンズだけだ。 28mm f/1.

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Insta360 Go Ultraは、娘を撮る親の最終解になる。

公園の砂場で、2歳半の娘がしゃがみ込んで何かを掘っている。 背中越しに、その小さな手元を撮りたい。スマホだと片手がふさがる。GoProを首から下げると、親の胸元にぶつかって娘が驚く。一眼は重いし、出した瞬間に「撮影」が始まって、遊びが止まる。 「装着を忘れるカメラ」が欲しい瞬間は、必ず来る。 そこに、Insta360 Go Ultra がいる。わたくしはいま、このカメラを「娘を撮る親の道具」として真剣に評価している。 [IMAGE_PLACEHOLDER: 公園の砂場、親の胸元に装着された小さな黒い立方体。しゃがんだ子供の背中がピントの外にある構図] 公式スペック(

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Canon PowerShot V1、1.4型センサーはVloggerの最適解になるか。

2020年の冬、まだ会社勤めをしていた頃、わたくしはボーナスでSony RX100M7を買った。¥138,000。「これでVlog始めるんだ」と息巻いて、三脚もマイクも揃えた。——結果から言うと、3ヶ月で投稿を止めた。撮るより編集の方が10倍しんどかった。機材は戸棚で埃を被り、今もそこにいる。 この過去があるから、¥167,200のVlog特化コンデジを買う人に、まず一呼吸置いてほしい。 キヤノンが2025年4月、PowerShot V1を投入した。発売から1年が経ち、市場の反応もおおよそ見えてきた。2026年4月の今、この機種を購買判断する条件が揃った。 1.4型センサー搭載、Vlog特化のコンデジ、冷却ファン内蔵、UHD

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FUJIFILM X-E5は「買うな」。——X-Eシリーズの原点は、どこへ消えたか。

X-E1を買った2012年、ボディ単体が¥91,000だった。当時まだ会社員で、冬のボーナスを崩して新宿のヨドバシで買った記憶がある。それがX-Eという箱と、わたくしの最初の接点だった。——「手が届くレンジファインダー風APS-C」。その一行だけで、X-Eは14年間、自分の棚の選択肢に残り続けてきた。 ところが、2025年8月に出たX-E5は、その一行を静かに消した。 FUJIFILM X-E5。 第5世代の4,020万画素 APS-C Xトランスセンサー。X-Eシリーズ初の5軸ボディ内手ブレ補正(最大7.0段)。新設計のフィルムシミュレーションダイヤル。レンジファインダースタイルのフラット上面。 そして、ボディ単体で約246,000円(FUJIFILMモール、

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Nikon Zf レビュー

はこだて自由市場で、干物が並ぶ台の前に立った。Nikon Zf に40mm f/2 SEをつけて、腰の高さから1枚切った——冒頭の写真だ。値札が少し読める、ニシンの青みがシャドウに残る、発泡スチロールの白が飛びすぎていない。わたくしが Zf に求めていたのは、この日常の質感をそのまま残す距離感だった。   Zfは、わたくしが「カメラで買うな」をやめたカメラだ。   Sony α7 を手放して、Nikon Zf に来た理由 Zen Gadgetで記事を書くとき、わたくしは「

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SONY RX1R III、約66万円のフルサイズコンデジ。——欲しい。買わない

渋谷のスナップ中、路地の壁に積層したステッカーを Hasselblad X2D 100C で撮った一枚だ。——高額な固定系・限定系のカメラを所有し、手放したり、欲しいのに我慢したりするということを、わたくしは何度も繰り返してきた。この記事は、そうした経験を踏まえて、SONY RX1R III に対して「欲しいけれど買わない」と書く記事になる。   2025年8月、ソニーは約10年ぶりにあのシリーズを帰還させた。 Cyber-shot DSC-RX1RM3。——前モデル RX1R II(2016年2月発売)から、実に9年半の沈黙を破って現れた、フルサイズ固定レンズコンデジの最新作だ。

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Sigma BF レビュー

銀座スナップの帰り道、東京国際フォーラムのガラスアーチの内側に入り込んで、Leica M11で見上げた。無機質な構造、反復するフレーム、わずかな緑。——わたくしがカメラに求めるのは、こういう直線と余白の絵だ。Sigma BFに惹かれる自分の気持ちは、この一枚の延長線上にある。   2025年4月、シグマは変なカメラを出した。 ボディは一枚のアルミインゴットから7時間かけて削り出したユニボディ。SDカードスロットはない代わりに230GBの内蔵メモリ。背面の操作はハプティクスで触覚を返すダイヤルと3ボタンのみ。EVFは、ない。 製品名はSigma BF。「Beautiful Foolishness(美しい愚かさ)」の頭文字だという。——カメラとして必要な要素を、ぎりぎりまで削ぎ落とした一台だ。 メーカー希望小売価格¥385,000(

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RICOH GR IV、抽選に並ぶ前に。——28mmで街を撮る道具を、もう一度考える。

近所の散歩中に、生垣の葉が逆光で透ける瞬間を GR III で切った一枚だ。——わたくしが今も所有しているGR IIIは、ポケットに入れて毎日持ち歩く「撮ると決めていない日にも撮れる」機材として、生活の一部になっている。この記事は、そのGR III所有者として、GR IVに対して書く記事になる。   6年半、GRは止まっていた。 RICOHがGR IIIを世に出したのは2019年。以来、ファンは新型を待ち続けた。途中、GR IIIx(40mm)という派生モデルはあった。が、「28mmのGR」という本丸は、

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DJI Osmo Pocket 4、Mic 3が効く人だけ買えばいい。

DJIがOsmo Pocket 4を本日発表した。 1インチセンサー据え置き、4K/240fps対応、14ストップダイナミックレンジ。内蔵107GB+microSD最大1TBのハイブリッドストレージ。1000ニトの回転式OLED。ActiveTrack 7.0。OsmoAudio 4チャンネル。 スペックを並べると「全部入り」に見える。¥79,200からという価格も、1インチジンバルカメラとしては妥当だ。 ただし——全員が買う道具ではない。 公式スペック(DJI公式確認済み) 項目 Pocket 3 Pocket 4

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DJI Pocket 4 レビュー

2歳半の娘が走り回るベランダの夕方、妻がスマホを縦に構えて動画を撮っている横で、わたくしはOsmo Pocket 3を握って横から追いかけている。——こういう食卓周りの狭い距離感で、Pocket 3は本当に効いた。片手で出して、片手で切る。ジンバルの滑らかさは、あとで自分で見返したときに「あ、この瞬間、家族だ」と感じる画になって返ってくる。 その家の景色の真ん中に、Pocket 4が来た。 DJIがOsmo Pocket 4を本日発表した。 1インチセンサー据え置き、4K/240fps対応、14ストップダイナミックレンジ。内蔵107GB+microSD最大1TBのハイブリッドストレージ。1000ニトの回転式OLED。ActiveTrack

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Sony α7 V / Nikon Z6III / Canon R6 III / Panasonic S5 II——メーカー横断で正直に比べた

40万円を出す前に読んでほしい。 わたくしはIT業界で10年トレーナーをやっている男だ。お小遣いは月15,000円。ガジェットを買いすぎて、今月もお小遣いはゼロになった。カメラも例外ではない。マウント乗り換えで30万円を溶かしたこともある。 だからこの記事は、机上の比較ではない。お金を溶かした側からの、正直な4機種比較だ。   この記事は誰のためか この記事は、全員のためではない。 カメラ歴が3年以上あって、1台目のフルサイズを使い込んだ末に「そろそろ2台目を」と思っている30〜50代の人。もしくはAPS-Cからの初フルサイズで予算25万円前後を見ている人。そのどちらかのための記事だ。 メーカー公式のレビュー動画を10本見た。YouTuberのベンチマークも5本見た。それでも「結局どれを買えばいいのか」がわからない。そういう状態の人に向けている。 スマホカメラで十分満足している人、20万円以下しか出せない人、

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