CAMERA

Leica Q3 43は、43mmという「第二の標準」に¥110万を払う道具だ。

近所の公園のサルスベリを、Leica Q2で撮った一枚だ。開放f/1.7、28mm、8月の昼過ぎ。Q2はわたくしが過去に所有し、手放し、今も手の記憶に残っている機材だ。——この記事は、そのQ2の記憶を携えたまま、Q3 43(43mm)という派生機を考える記事になる。   2024年11月、ライカは奇妙な派生機を出した。 Leica Q3の兄弟として、焦点距離だけが違う一台。ボディはQ3とほぼ同じ。センサーも同じ6030万画素フルサイズ。手ブレ補正も同じ。——変わったのは、レンズだけだ。 28mm f/1.

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VR

Apple Vision Pro(M5)、¥599,000で埃をかぶる前に。

未来は、買える。 ¥599,000を出せば、Appleが「空間コンピューティング」と名付けた新しい計算機のかたちが、今日ヤマトの箱で届く。2025年10月、Apple Vision ProはM5チップに刷新され、visionOS 26を載せ、2026年の春を迎えた。 その上で、わたくしは一つの事実から目を逸らさないことに決めている。 マルケス・ブラウンリー(MKBHD)は、自分のApple Vision Proが「埃をかぶっている」と公言した。 世界で最も影響力のあるガジェットレビュアーが、2024年2月に「これは未来だ」と評価した同じ端末について、

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SMART HOME

SwitchBot ハブ3は、在宅ワーカーの「家の指揮官」になれるか。

スマートホームという言葉が、ここ数年で確実に安くなった。 アプリで電気を消す、声でエアコンをつける、帰宅前に部屋を暖めておく。10年前には数十万円した仕組みが、1万円台のハブ一台から始められる時代になった。 その入口に、いま SwitchBot ハブ3 が立っている。Matter対応、赤外線データベース101,000種以上、温湿度センサー、人感センサー、Dial Masterと呼ばれる物理ダイヤル——スペックだけ並べると、確かに完成度は高い。 ただ、わたくしはこの製品を見ながら、最初に問い直したい。 家を賢くすることは、暮らしを賢くすることと、同じではない。   SwitchBot ハブ3の公式スペック 公式情報を整理する。

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HEALTH

Withings Body Segmentは、¥59,995の体組成計として本当に必要か。

健康への投資は、肯定する。 30代を過ぎて、体重と体脂肪だけを見て一喜一憂していた時代は終わった。筋肉量の左右差、内臓脂肪の推移、基礎代謝のトレンド——これらをデータで追えるようになったのは、家庭用体組成計のここ数年の進化の恩恵だ。 その前提の上で、わたくしは Withings Body Segment に一つの結論を持っている。 この体組成計は、スペックは正しい。しかし¥59,995の値付けは、家庭用機器の一線を越えている。   体組成計という「階段」の話 家庭用の体組成計には、実は価格帯ごとに明確な階段がある。 * 第1段:¥3,000〜¥8,

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CAMERA

Insta360 Go Ultraは、「娘を撮る親」の最終解になる。

公園の砂場で、2歳半の娘がしゃがみ込んで何かを掘っている。 背中越しに、その小さな手元を撮りたい。スマホだと片手がふさがる。GoProを首から下げると、親の胸元にぶつかって娘が驚く。一眼は重いし、出した瞬間に「撮影」が始まって、遊びが止まる。 「装着を忘れるカメラ」が欲しい瞬間は、必ず来る。 そこに、Insta360 Go Ultra がいる。わたくしはいま、このカメラを「娘を撮る親の道具」として真剣に評価している。 公式スペック(Insta360公式確認済み) 項目 Go 3S(前モデル)

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CAMERA

Canon PowerShot V1、1.4型センサーはVloggerの最適解になるか。

2020年の冬、まだ会社勤めをしていた頃、わたくしはボーナスでSony RX100M7を買った。¥138,000。「これでVlog始めるんだ」と息巻いて、三脚もマイクも揃えた。——結果から言うと、3ヶ月で投稿を止めた。撮るより編集の方が10倍しんどかった。機材は戸棚で埃を被り、今もそこにいる。 この過去があるから、¥167,200のVlog特化コンデジを買う人に、まず一呼吸置いてほしい。 キヤノンが2025年4月、PowerShot V1を投入した。発売から1年が経ち、市場の反応もおおよそ見えてきた。2026年4月の今、この機種を購買判断する条件が揃った。 1.4型センサー搭載、Vlog特化のコンデジ、冷却ファン内蔵、UHD

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CAMERA

FUJIFILM X-E5は「買うな」。——X-Eシリーズの原点は、どこへ消えたか。

X-E1を買った2012年、ボディ単体が¥91,000だった。当時まだ会社員で、冬のボーナスを崩して新宿のヨドバシで買った記憶がある。それがX-Eという箱と、わたくしの最初の接点だった。——「手が届くレンジファインダー風APS-C」。その一行だけで、X-Eは14年間、自分の棚の選択肢に残り続けてきた。 ところが、2025年8月に出たX-E5は、その一行を静かに消した。 FUJIFILM X-E5。 第5世代の4,020万画素 APS-C Xトランスセンサー。X-Eシリーズ初の5軸ボディ内手ブレ補正(最大7.0段)。新設計のフィルムシミュレーションダイヤル。レンジファインダースタイルのフラット上面。 そして、ボディ単体で約246,000円 (FUJIFILMモール、

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AUDIO

DJI Mic 3 レビュー

DJI Mic 3発売直後、YouTubeの動画レビューを5本ほど続けて観た。全員が絶賛していた。「ワンオペの最終解」「もうRODEには戻れない」「32bit floatが神」——判で押したような同じ語彙が並んでいて、逆に違和感が残った。本当にそうなのか。 研修講師として、わたくしはマイクを仕事道具として使う。 会場によってはピンマイクが貸与される。ただし、自分の声を自分で確実に録る、という仕事は、いまや講師自身の責任に近い。アーカイブ動画を残す、オンライン配信を併走させる、現地の録画データを提出する——仕事の要求は一つずつ積み上がっている。 その前提で、DJIが2025年8月28日に発売した DJI Mic 3 を冷静に見る。 16g。

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SMARTPHONE

AIスマホは半年で何を証明したか。Google Pixel 10 Pro。

研修の移動で新幹線に乗っているとき、隣の席のビジネスパーソンがPixel 9 Proで会議の録音をRecorderに流しているのを見た。手書きで議事録を取る代わりに、Pixelに任せる運用。——わたくしはその横で、MacBookでGoogle Docsに要旨を書いていた。5年前ならあり得なかった光景だ。1人分の仕事量が、道具の設計で明確に変わっていた。 半年後、この光景がPixel 10 Proに置き換わっている。100倍AIズームと第2世代Gemini Nanoを積んで。 2025年、スマートフォン業界は一斉に「AIスマホ」と言い始めた。 Apple Intelligence、Galaxy AI、そしてGoogleのGemini。各社が基調講演でAIの未来を語り、カタログの一番上に「AI」

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TABLET

iPad Pro M5 レビュー

「iPadで仕事する」という言葉が、10年以上売れ続けている。 2010年の初代iPad発表から、Appleはずっとこの物語を語ってきた。キーボードをつけろ、Magic Trackpadを足せ、Apple Pencilを握れ、Stage Managerでマルチタスクしろ——そしていつしか、iPad Proは¥168,800から始まる「小さなMac代わり」になった。 iPad Pro M5が2025年10月22日に発売された。M5チップ、Neural Engine 3.5倍、Ultra Retina XDR。

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CAMERA

Nikon Zf と40mm SE、はこだて自由市場の干物台を撮った日にわかった「5年使う」という距離感

はこだて自由市場で干物が並ぶ台の前に立ち、Nikon Zf に40mm f/2 SEをつけて、腰の高さから1枚シャッターを切った——この冒頭の写真。値札が少し読める、ニシンの青みがシャドウに残る、発泡スチロールの白がギリ飛びすぎていない。わたくしが Zf に求めていたのは、この日常の質感をそのまま残す 距離感だった。  Nikon Zf は、わたくしがカメラでめずらしく"買うな"をやめたカメラ だ。 Sony α7 を手放して、Nikon

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PC

MacBook Pro M5、Proの意味をもう一度。

10年前、企業研修のカウンターで、ある出版社勤務の男性がMacBook Pro 16インチ(当時の最上位構成)を購入してくれた。3年後、その方が店舗に立ち寄って笑いながら言った言葉を今も覚えている。「ワード打ってサファリ開いてるだけでした」——買った時の熱意と、3年後の実用の距離を、これほど正直に言葉にしてくれた人はいない。 MacBook Proを買おうとする人に、わたくしはいつも同じ問いを立てる。 あなたの「Pro」とは、何のことですか。 Proは名前であって、機能ではない。カタログの上に「Pro」と書かれている端末を買えば、自動的にプロの仕事ができるようになるわけではない。Proを持つ人のほとんどは、Proでなくてもできる仕事をProでやっている。——そして、その差額は数十万円になる。

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