AUDIO

Sony LinkBuds Clipは¥29,700の価値があるか。ソニー初のイヤーカフ型を、Shokz OpenFit 2+と並べて判定する。

ながら聴きは、もう流行ではない。定番だ。 AirPods ProでANC(ノイズキャンセリング)に耳を閉ざし続けた数年間を経て、人々はようやく気づいた。外界を遮断するのは、ときに疲労でしかない。 耳を塞がないまま音楽を聴く設計——オープンイヤー型、骨伝導、そしてイヤーカフ型——が静かに主流になりつつある。 その潮流に、ソニーが2026年2月6日、初のイヤーカフ型「LinkBuds Clip 」で参入した。税込 ¥29,700 。 わたくしは研修講師として、1日4〜6時間イヤホンを仕事道具として使っている。声の聞き取り、画面共有の音、Teamsの通知、

Read →
AUDIO

Sony WH-1000XM6は、3年分の沈黙を正しく使ったか。

在宅研修のオンライン登壇を10年続けてきた人間として、ヘッドホンを「消耗品」と呼ぶのを、わたくしはもうやめた。 カメラ越しに2時間話し続ける日、40人の受講者の声を拾いながら相槌を打つ日、合間に3歳の娘が寝室を突き破ってくる日——そのすべてを、頭に乗せた1つの機械が受け止めている。 Sony WH-1000XM6の発表を見たとき、わたくしはまずそこを考えた。 3年ぶりの刷新で、ソニーは何を「戻した」か。   WH-1000XM6の公式スペック ソニーは2025年5月下旬にWH-1000XM6を発売した。日本公式ストア価格は ¥59,400(税込)。 ¥59,400から。 前モデルWH-1000XM5(2022年5月発売)との対比を整理する。 項目 WH-1000XM5

Read →
SMARTPHONE

Sペンは進化しない。——Galaxy S26 Ultraという答え合わせ。

朝の通勤電車で、斜め前に立つスーツの男性がGalaxyを広げて、メール画面を指でスクロールしている。わたくしの目線の高さで、取引先名と金額がはっきり読める。本人はおそらく気づいていない。——これは企業向けITリテラシー研修を10年やってきたなかでで、わたくしが毎朝、別の人物で何百回も目撃してきた光景だ。 Galaxy S26 Ultraの「プライバシーディスプレイ」の話をする前に、この朝の光景を書いておきたい。 Androidフラッグシップの話をするとき、わたくしはいつも迷う。 「Androidの」という枕詞が、もはや比較の文法として成立しているのか。 10年前、AndroidとiPhoneは別の思想を競い合う相手だった。今は違う。大画面・高性能・三眼以上のカメラ・AI搭載——その仕様表は、どちらを読んでいるのかすぐには見分けがつかない。 そのなかで、

Read →
SMARTPHONE

iPhone 17 Pro Maxという看板。Proは今も機能しているか。

IT業界の現場に10年以上立ってきた経験で、同じ場面を数え切れないほど見てきた。カウンターの向こう側の客が、展示品のPro Maxを両手で持ち上げて「ちょっと重いけど、でも一番いいやつでしょ?」とつぶやく。連れの人が少し止めようとする。最後は「どうせ買うなら」で決まる。——20万円の買い物が、「どうせなら」という5文字で動く場面を、わたくしは今でも覚えている。 今世代のiPhone 17 Pro Maxの事前予約が始まった週、YouTubeレビューを5本ほど連続で観た。全員が絶賛していた。「過去最高のiPhone」「Proの完成形」「買うしかない」。——判で押したような語彙の並びに、また違和感が残った。 本当にそうなのか。 先日、iPhone

Read →
WEARABLE

Garmin Venu X1は、Apple Watchを外したい人への正解になり得るか。

健康への投資は、肯定する。 心拍、睡眠、血中酸素、皮膚温、そしてトレーニングの回復度。自分の身体を沈黙のまま擦り減らさないために、毎日データを見る習慣には価値がある。40歳が近づけば、なおさらだ。 その前提の上で、わたくしはGarmin Venu X1に関して一つの仮説を持っている。 この時計は、Apple Watchを外したい人間にとって、日本で初めて"降りてきた"選択肢だ。   スマートウォッチの"軽さ"が意味するもの Apple Watch

Read →
CAMERA

Sony RX1R III レビュー

渋谷のスナップ中、路地の壁に積層したステッカーを Hasselblad X2D 100C で撮った一枚だ。——高額な固定系・限定系のカメラを所有し、手放したり、欲しいのに我慢したりするということを、わたくしは何度も繰り返してきた。この記事は、そうした経験を踏まえて、SONY RX1R III に対して「欲しいけれど買わない」と書く記事になる。   2025年8月、ソニーは約10年ぶりにあのシリーズを帰還させた。 Cyber-shot DSC-RX1RM3。——前モデル RX1R II(2016年2月発売)から、実に9年半の沈黙を破って現れた、フルサイズ固定レンズコンデジの最新作だ。

Read →
AUDIO

Noise Master Buds 2、Bose監修サウンドを¥22,900で先行支援する意味。

イヤホンを「買う」と「支援する」は、別の行為だ。 Amazonで¥39,800のAirPods Pro 3をポチるのは、買い物だ。明日届く。初期不良なら返品できる。サポート窓口がある。 クラウドファンディングで¥22,900を投じるのは、支援だ。2026年7月に届くはずだが、遅延するかもしれない。量産の壁にぶつかるかもしれない。初期不良の対応が、大手メーカーと同じ速度では動かないかもしれない。 ——その前提を全部飲み込んだ上で、GREEN FUNDINGで公開中の Noise Master Buds

Read →
WEARABLE

Apple Watch Ultra 3を街で着ける人は、¥70,000を払い間違えている。

健康への投資は、肯定する。 心拍、睡眠、血中酸素、皮膚温、そして高血圧パターン。自分の身体が沈黙のまま壊れていかないように、毎日データを見る習慣には価値がある。40歳が近づけば、なおさらだ。 その前提の上で、わたくしはApple Watch Ultra 3に関して一つの立場を持っている。 この時計は、道具としては完璧だ。ただし、買うべき人間は、ほとんどいない。   Apple Watch Ultra 3の価格と、削ぎ落とした先にある機能 2025年9月発売。49mmチタニウムケース。公式価格は ¥129,

Read →
AUDIO

Bose QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)は、Apple信者がBoseを選ぶ正当性を持つか。

イヤホンを「音質と遮音性のための道具」と思っている人間と、「仕事のエコシステムの一部」と思っている人間がいる。 わたくしはIT業界で10年、研修講師として数千回登壇してきた。そのキャリアの中で、AirPodsは常に手元にあった。会議も、登壇も、通話も、Apple製品でない道具で仕事をした記憶がほとんどない。 ——その前提のわたくしが、2025年8月に発売されたBose QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)の¥39,600を前に、立ち止まった。 同じ日本で、同じ時期に、AirPods Pro 3は¥39,800で並んでいる。

Read →
CAMERA

Sigma BF レビュー

銀座スナップの帰り道、東京国際フォーラムのガラスアーチの内側に入り込んで、Leica M11で見上げた。無機質な構造、反復するフレーム、わずかな緑。——わたくしがカメラに求めるのは、こういう直線と余白の絵だ。Sigma BFに惹かれる自分の気持ちは、この一枚の延長線上にある。   2025年4月、シグマは変なカメラを出した。 ボディは一枚のアルミインゴットから7時間かけて削り出したユニボディ。SDカードスロットはない代わりに230GBの内蔵メモリ。背面の操作はハプティクスで触覚を返すダイヤルと3ボタンのみ。EVFは、ない。 製品名はSigma BF。「Beautiful Foolishness(美しい愚かさ)」の頭文字だという。——カメラとして必要な要素を、ぎりぎりまで削ぎ落とした一台だ。 メーカー希望小売価格¥385,000(

Read →
DESK

コクヨ Energy Line レビュー

わたくしは研修講師で、1日8時間以上デスクに向かっている。目の前には外部モニター、MX Mechanical Mini、Sayl Chair。——そのデスクの足元で、毎日目に入る「見られる前提の道具」がある。電源タップだ。 多くの人が、電源タップだけは妥協する。「見えない場所にあるから」「電気が通ればいいから」——そう言って、床の隅で埃をかぶっているタップを5年放置する。 そこに刺さってきたのが、コクヨの Energy Line 電源タップ APP-04H200 だ。デスク天板にクランプで固定する、ライン形状の電源タップ。 結論を先に書く。デザインは文句なしに美しい。

Read →
防災

Jackery 1000 NewとAnker Solix C1000 Gen 2を、「防災用品」として選んだ日。

ある夜、2歳半の娘を寝かしつけた直後に、マンションの廊下の照明がふっと消える場面を想像した。 都心の9階。エレベーターは止まり、共用廊下の非常灯だけが薄く光る。冷蔵庫のコンプレッサー音が消える。Wi-Fiルーターのランプが落ち、スマホの電波表示が「圏外」に近づく。そして、一番こたえるのは音だ。加湿器の水音が止まる。換気扇が止まる。静かすぎる部屋で、娘が目を覚ます。 わたくしはキャンプをしない。車中泊もしない。ポータブル電源というカテゴリは、ずっと「自分と関係ない道具」だった。 だが、視点を変えると見え方が変わる。停電時に、2歳半の娘のミルク用のお湯を沸かし、情報端末を生かし、スマート医療機器を動かす道具——そう定義した瞬間、

Read →