結論から言う。

Leica M EV1は、本体とレンズを含めて予算300万円以上を用意できる長年のLeicaユーザー以外は、手を出すな。

わたくしはLeica M11を手放して、Hasselblad X2D 100Cに乗り換え、深く後悔した。その経験があるからこそ、Leica Mの世界に戻りたい気持ちはある。

そこに登場したのがLeica M EV1。M型ライカ初の電子ビューファインダー(EVF)搭載機だ。長年のLeicaユーザー、とくに視力の変化を感じ始めた人にとっては、これは革命的な答えになりうる。

だが、冷静になろう。本体とレンズを揃えて300万円超え。これは普通車1台分の金額だ。


M EV1の何が革命的か

まず整理しておく。

Leica Mシリーズの魅力は、長年レンジファインダーだった。二重像を一致させてピントを合わせるあのメカニズム。光学式だから電池に依存しない、明るい、即応性が高い。「本物のカメラ」を愛する人にとって、これ以上の体験はないとされてきた。

だが、レンジファインダーには決定的な課題がある。

視力の変化だ。

40代以降、目のピント調節能力が徐々に変わってくる。レンジファインダーの微妙な二重像合わせに、以前より疲れを感じるようになる。薄暗い場所では特に厳しい。わたくしもM11を使っていた時期に、この変化を経験し始めていた。

そこにLeica M EV1だ。

Leica Mデザインの外観はそのまま、内部に電子ビューファインダーを搭載。ピント拡大、フォーカスピーキング、正確な露出プレビュー。デジタルカメラの利便性を、Leica Mの哲学と融合させた。

これは長年のLeicaユーザーへの、Leicaからの答えだ。視力の変化に寄り添いながら、Leicaを使い続けられる設計になっている。


今のカメラで困っていますか?

Zen Gadgetの鉄則だ。

あなたは以下のどれかに該当するか?

  • Leica Mシリーズを長年使ってきたが、レンジファインダーのピント合わせに疲れを感じるようになってきた
  • Leica M11/M11-P/M11 Monochromを持っているが、EVFが欲しい
  • Leica Qシリーズ(Q3等の固定レンズ機)では物足りず、レンズ交換式のLeica Mが欲しい

これらのどれにも当てはまらないなら、M EV1はあなたのための製品ではない

初めてLeicaを買うなら、中古のM10やM11で十分だ。むしろM EV1から始めるのは、ワインの世界に初めて足を踏み入れる人が、いきなりロマネ・コンティを開けるようなものだ。楽しみを飛ばしてしまう


予算300万円という現実

ここで価格の話をする。

Leica M EV1の本体価格はLeicaの公式発表および販売店情報で最新を確認してほしい。ここで重要なのは「カメラ一式を揃える時の総予算」だ。

  • 本体 数百万円台
  • 標準レンズ(Summilux-M 50mm f/1.4等) 約60万〜100万円
  • 予備バッテリー、SDカード、ストラップ、保護フィルター 約5〜10万円
  • メンテナンス代(年間) 約3〜5万円

すべて揃えると合計300万円を超える。これが「Leica M EV1を買う」ということの実態だ。

これは「高級カメラ」という言葉で片付けられる金額ではない。普通車1台分だ。住宅購入の頭金に匹敵する金額でもある。

正式価格と納期は必ずLeica Japan公式および販売店で最新情報を確認してほしい。納期は現時点で未定という報道もある。価格も変動する可能性が高い


一括で払えない人は、買うな

ここからが本題だ。

300万円超の予算を一括で用意できる経済的余裕がないなら、M EV1を買うな。これはわたくしの強い立場だ。

「ショッピングローンで買えば月々数万円で手に入る」——そういう発想で買うカメラではない。理由は3つある。

理由1: 長期間、他のカメラに浮気できなくなる

ローンを組むと、その期間中は実質的に他のカメラを買う余裕がなくなる。新型機が発表されても「今はローン中だから」と諦めることになる。

カメラ好きにとって、数年の足枷は重い

理由2: 利息は「見えないコスト」の塊だ

Zen Gadgetの4つ目の哲学「見えないコスト」を思い出してほしい。ローンで発生する利息は、カメラの本体価格以外に払うお金だ。その金額で何ができるか考えると、本当に借金してまで買うべきか判断できる。

理由3: Leicaの哲学は「焦って買うもの」ではない

Leicaは一生モノの道具だ。焦って借金してまで手に入れるカメラではない。一括で買える経済状態になるまで待つ。それがLeicaとの正しい付き合い方だ。

わたくしはローンでの購入を推奨しない。この記事は金融商品の勧誘ではない。ただ「300万円を払うとはどういうことか」を冷静に認識してほしいだけだ。


それでも買うべき人

わたくしはこの記事で「買うな」一辺倒の記事を書くつもりはない。Leica M EV1を買うべき人は確かに存在する

条件1: 長年のLeicaユーザーで、視力の変化に直面している

これが最大の理由だ。M3、M6、M9、M10、M11とLeica Mシリーズを使ってきた人にとって、EVFは答えになる。「Leicaを使い続けたいが、レンジファインダーが辛くなってきた」という悩みに、唯一の解を提示している。

この層にとって、M EV1は買うべきカメラだ。一括で払える経済的余裕があるなら。

条件2: 写真を資産として残したい人

Leica Mシリーズは、他のデジタルカメラとは違うリセール特性を持つことで知られている。特に限定モデルや特別仕様は、新品定価を下回らないことがある。中古市場でM型ライカが定価以上で取引されるのは珍しいことではない。

Hasselbladの記事でわたくしは「リセールはナイフのように鋭く落ちる」と書いた。Leica Mはその真逆だ。

ただしM EV1は新型機。リセール特性は過去のM型と同じとは限らない。電子ビューファインダー搭載機という新カテゴリなので、市場の評価が定まるまで1〜2年かかる可能性がある。

条件3: 納期未定・価格変動を受け入れられる

2026年4月時点、Leica M EV1の納期には不透明な部分がある。注文しても、いつ届くかわからないという情報もある。半年待ち、1年待ちも覚悟する必要があるだろう。

Leicaは伝統的に「欲しい時に手に入らない」カメラだ。M EV1でもその伝統が続く可能性が高い。焦らない人、待てる人にしか向かない製品だ。


YouTubeやブログで目立ちたい人へ

もう一つ、強く伝えたいことがある。

Leica M EV1を買ってYouTubeやガジェットブログで目立とうと考えている人、悪いことは言わない。やめておけ。

この機材でどんなに頑張っても、元は取れない。再生数や広告収入で300万円を回収するのは、発売直後の話題性があるうちの数本の動画・記事までだ。その後は他の人気YouTuberが同じ機材で同じような動画を上げ始め、差別化は消える。

「Leicaを持っている自分」のブランディングで仕事を取れると考えているなら、それも危うい。仕事はカメラで取るものではなく、あなたの実績と人柄で取るものだ。機材で差別化しようとすると、次の新型が出るたびに買い替えが必要になる。それはLeicaの哲学とは真逆の消費行動だ。

Leica Mは「所有する喜び」で買うカメラであって、「見せる道具」として買うカメラではない。この順序を間違えると、あなたのお小遣いは瞬く間に消える。わたくしはLeica M11を所有していた経験から、これを断言する。


わたくしがもしM EV1を買うなら

正直に書く。わたくしは300万円の一括払いは無理だ。お小遣い15,000円の人間がLeicaに300万円を払う計算は、20年近くかかる。

だがもし、何かの間違いで300万円が手に入ったら、わたくしはM EV1を買うだろうか?

たぶん買わない

わたくしは以前Leica M11を持っていて、手放した経験がある。あの時感じたのは「レンジファインダーの不便さを受け入れて撮る喜び」だった。EVFが搭載されたM EV1は、その「不便さ」を半分だけ取り除いてしまう。

結果として、デジタルミラーレスとの差別化が曖昧になる。Leicaの魅力は「不便さこそ楽しさ」だったのに、EVFを載せることで、Nikon ZfやFujifilm X-T5と本質的な違いが見えにくくなる方向に進んでいるように見える。

(※視力の変化で困っている人にとっては、この「不便さの削減」こそが救いなのだから、これは反論不可能な価値だ。批判しているわけではない)

わたくしはLeica M11の「不便さ」が好きだった。EVFが欲しいなら、Nikon Zfを使う。そこに300万円の価値を感じない。


わたくしの判定

本体+レンズで300万円超の支出が生活に影響しない50〜70代のLeicaユーザー → 買う

ローンで買おうとしている人 → 買うな

初めてのLeicaとして買う人 → 買うな。まず中古のM10/M11から始めろ

YouTubeやブログで目立つために買う人 → 買うな。元は取れない

その他すべての人 → 待つ(中古市場にM EV1が出回る頃、市場の評価も定まる)

買う前の3つの自問

  1. 300万円超を一括で払っても、あなたの生活は変わらないか?
  2. 納期が半年〜1年待ちでも、あなたは待てるか?
  3. 「Leicaの哲学」を本当に理解しているか?(不便さを楽しめない人には向かない)

3つすべてにYesと答えられないなら、あと5年待て

買う決意が固まった人へ

Leica M EV1はカメラのキタムラで情報を確認できる。

実際の価格・納期・販売条件は必ず販売店で最新情報を確認してほしい。為替レート・金利・キャンペーンによって状況は変動する。


わたくしの結論

Leica M EV1は、長年のLeicaユーザーで、レンジファインダーが辛くなってきた人たちへの、Leicaからの答えだ。それは素晴らしいことだ。

だが総額300万円超。これは誰でも払える金額ではない。

わたくしはこの記事で、以下を強く伝えたい。

  1. 一括で払えない人は、買うな
  2. ローンで300万円の買い物をしてはいけない
  3. YouTubeやブログで目立つために買うな。元は取れない
  4. Leicaは焦って買うカメラではない。一生かけて付き合う道具だ

わたくしはローンでの購入を推奨しない。わたくしの記事は金融商品の紹介ではない。「300万円を払うとはどういうことか」を、冷静に考える材料を提供しているだけだ。

わたくし自身は、Nikon Zfを5年使うと決めた。Leicaの哲学には敬意を払いつつ、別の道で「撮る楽しさ」を追求する。それが今のわたくしの答えだ。

あなたがもし30代、40代で、「いつかLeicaを持ちたい」と夢見ているなら、まずは中古のM9かM10を100万円以下で狙え。それで十分にLeicaの世界を体験できる。M EV1は、その後でいい。

50代、60代で、長年のLeicaユーザーで、視力の変化に困っていて、一括で払える経済的余裕がある人——あなたのためのカメラだ。迷うな。ただし焦るな。Leicaは焦って買うカメラではない。


補足: ローンについての免責

本記事はローンでの購入を推奨するものではない。 金利・条件・審査・ローン商品は販売店および信販会社によって大きく異なる。実際の購入時は必ず店舗で正確な情報を確認し、自身の経済状況を冷静に判断してほしい。Zen Gadgetは金融商品の紹介や勧誘を目的とする媒体ではない。


本記事の価格・納期情報は2026年4月時点の各種メディア報道および販売店情報に基づきます。正確な価格および納期は必ず販売店で最新情報を確認してください。

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