今日のテーマはAppleCare+です。

家電量販店のレジで「AppleCare+、付けときましょうか」と聞かれて、なんとなく頷いたことがある。あのときの自分は、月¥1,580という数字の意味を何も計算していなかった。ただ、断ると損するような気がして、断れなかった。

あれから僕はずっと、この「とりあえず付けときましょうか」が苦手だ。

苦手なのに、いざ自分が人から「AppleCare+って入った方がいいの」と聞かれると、即答できない。LINEで、雑談の途中で、新しいiPhoneを買った友人から、もう何度も聞かれてきた問いなのに、毎回うなってしまう。

理由は単純で、この問いには万人共通の正解がないからだ。

iPhone 17 Pro Maxを毎日カバンに突っ込んで街を歩き回る人と、自宅の机からほとんど動かないMacBook Airを使う人が、同じ「AppleCare+」という商品の前で同じ判断をするのは、どう考えても変だ。使い方が違うのに、答えが同じわけがない。

それなのに店頭では「とりあえず」で月¥1,580〜¥1,740が走り出す。とりあえずで5年積めば9万円から10万円になる。事故が一度も起きなければ、その金はまるごと保険会社の利益に消えていく。

逆もある。「保険なんていらない」と決めて画面を割り、¥68,800の請求書を見て固まる人も、どこかで毎月生まれている。iPhone 17 Pro Maxの画面を一回割っただけで、その金額だ。

だから今日は、僕が頭の中でやっている計算をそのまま書く。誰かに「入るべき」と言わせたいわけじゃない。読み終えたときに、自分の使い方で自分の答えが出せる。それだけを目指す。

まず、AppleCare+が何なのかを誤解している人が多い。これは「無料で全部直る券」ではない。通常の1年メーカー保証では対象外の、落下や水濡れや打撃みたいな自分の過失で壊した損傷を、自己負担額付きで何度でも直してくれる券だ。盗難紛失プランを別に付ければ、紛失や盗難での本体交換も対象になる。

肝心なのは自己負担額の存在だ。iPhoneの画面修理なら¥3,700、その他の損害なら¥12,900。盗難紛失プランで本体交換すると¥14,500。Macは画面や外部筐体で¥12,900、その他の損害だと¥37,100。Apple Watchの過失損傷は¥10,700、iPadの画面や筐体は¥4,400、AirPodsの修理交換は¥3,700。

つまりAppleCare+は、修理一回あたりの上限を数千円から一万円台に固定する券なのだ。ゼロにする券ではない。ここを「全部タダで直るんでしょ」と思い込んだまま頷くと、後で「思ってたのと違う」が起きる。

その上で、僕が見るのは結局のところ三つの数字だ。順番に番号を振るような大げさな話じゃなくて、頭の中ではほとんど同時に走っている。端末がいくらか。自分の使い方が粗いか。何年使うか。これだけだ。

端末価格から書く。未加入時の修理費は、だいたい端末価格の半分から七割に達するように設計されている。20万円を超える端末を一回壊すと、10万円から14万円が消える。10万円の端末なら4万円から7万円だ。前者のほうが、事故一回で元が取れてしまう確率が高い。

具体的な差額を並べると、ここが一番重い。iPhone 16 Pro Maxの画面修理は、加入していれば¥3,700。未加入だと¥68,800。差は¥65,100。AppleCare+の2年一括が¥31,800だから、画面を一回割った時点で、もう元は取れている計算になる。

Macも構造は同じだ。MacBook Pro 16インチの液晶交換は未加入で¥80,000から¥100,000規模、ロジックボード交換は¥98,000前後。加入していればそれぞれ¥12,900と¥37,100で済む。Apple Watch Ultra 3の本体交換は未加入で¥80,000規模、加入していれば¥10,700だ。

並べていて思うのは、結局すべては「事故が一回でも起きるかどうか」に集約されるということだ。事故ゼロならAppleCare+は払い損になる。一回でも起きれば、払って正解のヘッジになる。だから次に見るのは、自分の事故率だ。

ここでスペックを見ても意味がない。見るべきは行動の履歴だ。過去2年で一回でも画面を割ったか、水没させたか。カバンに突っ込んで動き回る生活か、机に置きっぱなしの生活か。小さい子どもやペットがいて、机の端に置いた端末が落ちる瞬間があるか。ジムや登山やダイビングで毎日酷使するか。出張が多くて、空港やタクシーで置き忘れる隙があるか。

逆に、過去5年一度も割っていないなら。家と職場の往復だけで、移動中もずっと鞄の中で安定しているなら。ケースもフィルムも欠かさず、誰にも端末を触らせないなら。その人にとってAppleCare+は、たぶん払い損のほうに傾く。

僕がここで言いたいのは、見栄を張るなということだ。「自分は丁寧に使うから大丈夫」と思いたい気持ちはわかる。でも保険の判断でだけは、過去の自分の手元を正直に見たほうがいい。割った人は、また割る。割らない人は、たぶん割らない。

最後に何年使うか。Macは3年、それ以外は最大2年がカバー期間だ。一年で買い替えるなら保険料の半分以上が無駄になる。逆に3年以上使うつもりなら、iPhoneやiPadやWatchは3年目からは無保険になる。だから3年目に、継続するか別の保険に切り替えるかを必ず決めることになる。

ここまでを自分の手元に当ててみると、判定はだいたい出る。端末が20万円を超えるか、特殊な用途で酷使するなら、入る方向に大きく傾く。過去に割ったり水没させたりした事故歴があるなら、入る方向。20万円以下で事故歴もなく、丁寧に短期間使うだけなら、入らない方向。そして、3年以上使う予定があったり、子どもやペットがいてリスクが読みきれないなら、月払いで様子見、というのが僕の落とし所だ。

月払いについては少し補足したい。たとえばMacBook Airをデスクワークで使う人は、ここがいちばん迷う層だ。3年で一度も壊さない自信が、半分あって半分ない。そういうときは、3年一括¥27,800を最初から払うより、年額¥9,800で一年だけ加入して自分の使い方を観察するほうが現実的だと思う。一年カフェに持ち出さず水分を机に置かずに済んだなら外す。途中でヒヤリとしたら続ける。月払いは「使い方を見届ける一年」を買う商品として使う。

それから、店頭では教えてもらえない落とし穴がいくつかある。

ひとつは3年目だ。2年一括で入って3年目も使い続けると、2年が経った瞬間に一括プランは終了する。何もしなければ3年目は無保険で、この状態で画面を割ると¥68,800が来る。逆に月払いは2年経過後も自動継続するので、買い替えのときに解約を忘れると、もう手放した旧iPhoneのために月¥1,740を払い続けることになる。2年経過のタイミングは、必ずカレンダーに入れておいたほうがいい。

盗難紛失プランにも条件がある。「探す」が紛失時点でオンであること、請求の間ずっとオンを維持すること、紛失から30日以内に請求すること。焦って初期化してしまった人や、そもそも「探す」を切っていた人は対象外になる。31日経った瞬間に補償権は消える。買った直後に「探す」がオンかどうか、それだけは確認しておきたい。

AirPodsは少し特殊で、購入後30日を過ぎると一切加入できない。後日加入の救済もない。AirPods Pro 3を¥39,800で買って片側を一ヶ月後に失くした場合、加入していれば¥3,700、未加入だと片側¥18,800からだ。安いから保険はいらない、が必ずしも正解とは限らない。買うその場で決めるしかない。

iPhoneやMacを後日加入する場合は、リモート診断が必須になる。バッテリーの劣化や落下痕、水濡れ反応が検出されると弾かれることがある。狙うならオンラインより、Apple Storeに端末を持ち込むほうが通りやすい。あと、日本で入ったAppleCare+の修理は原則日本国内だけだ。海外赴任が長い人は、ここを理解した上で考えたほうがいい。

もうひとつ、検索しても出てこない選択肢がある。さくら少額短期保険の「モバイル保険」だ。月¥700で主端末1台と副端末2台の最大3台、自己負担0円、補償上限は年10万円。スマホもPCもタブレットもイヤホンも横断でカバーする。家族でApple製品を3台以上持つ世帯なら、全部AppleCare+を付けて年¥40,000から¥50,000かかるところが、年¥8,400で収まる計算になる。

ただし上限が年10万円で、紛失は対象外。だから高額な一台を盗難紛失込みで守りたいなら、やはりAppleCare+のほうが向く。僕が現実的だと思うのは、主力の一台だけAppleCare+、残りはモバイル保険でまとめる組み合わせだ。iPhone 17 Pro Maxの月¥1,740とモバイル保険の月¥700で、月¥2,440。全部AppleCare+で揃えると軽く月¥4,000を超えるから、知っているだけで保険コストが半分になる世帯はけっこうある。それと、楽天カードや三井住友プラチナのようにカードに動産総合保険が付いていることもある。新しい保険を考える前に、まず手元のカードを確認するのが順番だと思う。

ここまで書いてきて、自分でも思う。保険の話は、突き詰めると「自分の手元をどれだけ正直に見られるか」の話だ。

僕はモノを長く大事に使いたいと思っているほうで、安いから雑に扱う、壊れたら買い替えるという発想がどうしても好きになれない。だからこそ、長く使うつもりの一台には保険をかけ、雑に増やしたデバイスには保険をかけない。自分の身の丈と使い方に合わない保険は、安心ではなくただの出費になる。

「とりあえず付けときましょうか」に頷く前に、過去5年の自分の手元を思い出してほしい。何回割った。何台失くした。これから何年使う。その三つを正直に数えられたら、もう答えは半分出ている。

あとは、その答えを店員ではなく自分で言えるかどうか、それだけだ。

(料金・自己負担額・補償条件はすべて2026年4月時点のApple公式およびさくら少額短期保険公式に基づく。価格や条件は改定されることがあるので、加入前に各社の公式情報を確認してほしい。本記事は加入を勧めるものではなく、判断の材料を渡すものだ。)